賃貸物件を借りる際「更新料」や「原状回復費用」に関するトラブルは後を絶ちません。契約時には細かく確認したつもりでも、退去時や更新時に思わぬ出費を求められ、納得できないまま支払ってしまう人も少なくありません。そこで本記事では、不要なトラブルを未然に防ぐために確認しておくべきポイントを解説します。

契約更新時の費用条件を事前に把握する重要性

賃貸契約を結ぶ際は、更新料に関する条件が契約書に明記されているケースが多いです。

しかし、記載されている文言が曖昧であったり、口頭説明と契約書の内容が一致しないこともあるため油断は禁物です。更新時の出費を想定外にしないためには、契約前に明確な確認を行う姿勢が求められます。

契約書内の「更新料」欄の読み方を理解する

契約書には「更新時に賃料の1か月分を更新料として支払う」といった文言が記載されていることがあります。

ただし、物件や管理会社によっては「更新事務手数料」として別途費用を設定していることもあり、実質的に二重の出費となる可能性もあります。両者の違いをしっかりと区別して、費用の全体像を掴むことが、更新料の実態をつかむために大切です。

更新料がない契約でも他の費用が発生する場合がある

「更新料無料」とうたう物件でも、安心してはいけません。

その代わりに「再契約手数料」「契約更新事務手数料」など別名義で費用が設定されているケースも見受けられます。名称が違っても、実質的には更新にかかるコストであるため、契約書に記されたすべての費用項目を丁寧に読み解くことが不可欠です。

原状回復費用に関する認識のズレがトラブルの原因に

原状回復にまつわるトラブルは、退去時の代表的な問題です。

「入居時と同じ状態に戻す」とはどういう意味か、貸主と借主の間で解釈のズレが生じやすい分野でもあります。認識の相違が費用負担のトラブルにつながるため、契約前から一定の知識を持っておくべきです。

原状回復の範囲は法律やガイドラインで定められている

原状回復費用とは、借主の故意や過失による損耗部分を修復するための費用です。

経年劣化や通常使用による摩耗については、原則として借主が費用を負担する義務はありません。国土交通省のガイドラインでも、たとえば家具の設置跡や日焼けによる変色などは、原状回復の対象外とされています。

契約書で定められた「特約条項」には要注意

契約書に「特約」として、通常のルールを超えた原状回復義務が明記されていることがあります。

たとえば「ハウスクリーニング代は一律で借主負担」「壁紙の全面張替えを借主が負担する」などです。これらの特約が有効となるかどうかは、契約時に借主が内容を理解し、納得して同意したかにかかっています。したがって、サインをする前にその条項の妥当性を慎重に判断することが重要です。

写真で状態を記録しておくと安心

入居時の室内状態を写真で記録しておくと、退去時の原状回復範囲の証拠になります。

契約時に管理会社と一緒に室内確認を行い、細かい傷や汚れについても共有しておけば、後から「このキズは入居者の責任」とされるリスクを軽減できます。

トラブルを避けるために行うべき契約前の対話と確認

更新料や原状回復費用のトラブルを回避するためには、事前の質問や確認が何より効果的です。

契約書の内容を読んだだけでは見落とすリスクもあるため、担当者との対話によって疑問点を解消しておくことが肝心です。以下で、契約前の確認における重要なポイントを見ていきましょう。

気になる点は遠慮せず質問する姿勢がカギ

更新料や原状回復について「これはどういう意味ですか？」「この費用は何のためのものですか？」といった質問を遠慮せずに行うことが、将来的なトラブルを未然に防ぐ手段となります。

質問することで、担当者の説明内容が曖昧であれば、より慎重になる判断材料にもなります。

管理会社やオーナーとの認識をすり合わせる

契約の相手方は、物件のオーナーであったり、不動産管理会社であったりします。

それぞれの対応や考え方には違いがあるため、実際の運用ルールについて事前に確認しておくことも有効です。退去時の費用負担のトラブルは、認識のズレから生じやすいため、契約時点でお互いの考えを一致させる努力が必要です。

口頭説明は書面で残す工夫を

「口頭ではこう説明された」という主張は、後のトラブル時には証拠として不十分な場合があります。

もし更新料や原状回復について書面に明記されていない内容を伝えられたら、その場で書面にしてもらう、またはメールなどの記録を残しておくと安心です。とくに費用に関わる部分は、言った・言わないの水掛け論になる前に、証拠として残しておく工夫が重要です。

まとめ

賃貸物件の契約において、更新料や原状回復費用に関するトラブルは非常に多く、予期せぬ出費に悩まされるケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためには、契約前に費用の内訳や特約条項の内容を丁寧に確認し、不明点はそのままにせず積極的に質問する姿勢が求められます。また、契約書の記載だけでなく、口頭での説明内容も記録に残しておくと安心です。さらに、入居時の室内状況を写真で記録するなど、後のトラブルを想定した備えも有効です。オーナーや管理会社との認識のすり合わせを行い、納得のうえで契約を結ぶことが、安心して暮らす第一歩となります。本記事が、更新料や原状回復費用に関するトラブルを防ぐ一助となれば幸いです。

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